【報告】2/2 オンライントーク「伊賀市でできた! 国立市でできた! あなたの地域でもできる。 40歳の市民派市長はなぜ誕生できたのか」

   全国から200人を超える人々が熱心に2時間のオンライントークに参加してくれました。参加者の中には、自治体議員や首長選挙を準備・構想している人たちもいて、三重県伊賀市の稲森としなお市長と、東京都国立市のはまさき真也市長(共に40歳)の話に耳を傾けてくれました。
 稲森さんは、三重県伊賀市議会議員を2期、三重県議会議員を3期やりながら、ローカルパーティー「草の根運動いが」を立ち上げました。今回の11月10日投開票の市長選には現職(3期)も含めて、自民系、維新系など6人が競う大激戦だったのですが、見事に現職をダブルスコアで破り、当選しました。同日、行われた伊賀市議会議員選挙でも、「草の根運動いが」の仲間3人全員が当選し喜びを分かち合いました。
 当選後には「市立保育園の完全民営化」にストップをかけて、保育士採用に踏み切り、豊かな地域資源を生かした「自然保育」の導入を探っています。 公共の再生や人づくりに取り組む未来政策部など新たな組織機構改革も手がけました。伊賀市は558キロ平米と世田谷区の約10倍の面積に、83000人の住民が暮らす自治体だが、稲森さんは県会議員当時に1万5千人の住民を訪ね、声を交わしてきました。私も2024年4月に講演に招かれましたが、150人の多世代の市民が集っていました。
 はまさき真也さんは、国立市にある一橋大学出身で国土交通省で15年勤務しました。自治体出向の経験もあり、「在宅ケア」や「セーフティーネット住宅」の制度も担当しました。退職後は、民間の会社で働きながら、「子ども食堂」や高齢者の居場所などを訪ねて声をひろいました。市民の直面している困難に、行政の手が届いていないことや、自身が子育て中でもあり「現役世代の声が届いていない」と感じました。
 国立市は、2024年12月15日投開票の市長選挙では、二期目の現職が1万2977票に対して、はまさき候補が1万3559票と僅差の勝利となりました。三期目をめざす現職が、自公に加え、維新、都民ファーストや業界団体等の盤石の組織戦で臨んだが、無党派層と保守層の一部も獲得したはまさきさんが一歩先んじた形でした。
「知名度不足は活動量で補った」「チラシ、ホームページ、インスタ、facebook、YouTubeなど『伝え方』にはこだわった」として、特に期間前のYouTube広告は「手応えを感じた。『駅前で4歳の子がYouTubeの人だ』と言われたり」 また、市内で配布するチラシを住宅市街地と農地の多い地域で2種類にするなどの工夫もこらしました。
「直前の衆議院選挙の影響もあったと思います」というはまさきさんを、生活者ネットワークや共産党市議、そして立憲民主党国会議員が応援したが、現職に結集した「組織」には近づけなかったという。
 参加者からは、「草の根選挙とはいえ、ふたりともしかるべき下地があって、当選したと感じた」(静岡県)「新自由主義ではない、公益・公共を考える40代の首長が出てきたことに希望を感じました」(東京都)等、たくさんの感想も寄せられて、今後の配信にも期待する声が目立ちました。LIN-Netでは、今回のようなテーマを絞ったオンライントークも企画していきたいと思います。
 
世田谷区長 保坂 展人