【報告】5/18 選挙と民主主義を地域から修復する――東京都議選から全国へ
5月18日(日)、Local Initiative Network(LIN-Net)の第9回イベントを開催しました。テーマは「選挙と民主主義を地域から修復する――東京都議選から全国へ」。
当日は会場に160名、オンラインで140名、あわせて約300名の方々にご参加いただき、熱気あふれる場になりました。これほど多くの方に関心を寄せていただけたこと、本当にうれしく思います。LIN-Net運営委員一同、心から感謝しています。
都議会議員選挙を目前に控えたいま、私たちの民主主義のあり方が改めて問われています。お米をはじめ、あらゆるものの物価が上がって生活はどんどん厳しくなり、雇用や税金、社会保障といった課題も山積み。そんな中「政治とお金」をめぐるニュースを見聞きしない日は残念ながら無く、ネット上ではいのちを奪いかねないような誹謗中傷やデマが飛び交う日々が続いています。政治への信頼が根っこから揺らぎ、民主主義そのものが壊れてしまうのではないか、あるいはもうすでに壊れてしまっているのではないか。そんな危機感が日に日に強まっています。
だからこそ、いま必要なのは顔を合わせてとことん語り合うこと。そして、そこから生まれる信頼を基にしたつながり。地域から「いのちの政治」と「コモン」を育ててきたLIN-Netとして、民主主義をもう一度立て直す道をここから探っていきたい。そんな思いで、今回のイベントを企画しました。
第1部では、保坂展人・世田谷区長が「政治の劣化と民主主義の危機」と題して、今の政治状況について問題提起しました。続いて兵庫県の県議会議員・丸尾まきさん、東京都の都議会議員・関口健太郎さんが、それぞれの地域の現場からリアルな報告をしてくださいました。選挙の現場でいったい何が起きているのか。中傷やデマが民主主義にどう影響するのか。生々しく重みのある報告に会場は静かに聞き入っていました。
第2部では、直近の選挙で新しく市長になられた3人が登壇。伊賀市の稲森としなおさん、国立市のはまさき真也さん、宝塚市の森りんたろうさんが、それぞれの選挙を振り返りながら、これからの民主主義の可能性について語ってくれました。草の根の市民の力で生まれたリーダーたちの言葉は、どれも希望に満ちていて、選挙戦で感じた市民の熱や、日々の市政で市民の声を聞くための工夫、そしてこれから挑戦したい政策のことなど、一つひとつが希望に思えました。地方から着実に変化が起きている実感を共有できました。
第3部では、岸本聡子・杉並区長が進行を務め、都議会議員のもり愛さん、漢人あきこさん、岩永やすよさんが登壇。LIN-Netが掲げる5つの政策にそって、それぞれの視点から東京都政への考えやご自身の取り組みを語ってくださいました。また、国分寺市議会議員の鈴木ちひろさんからは、「若者と都政」をテーマにお話があり、特にSRHR(性と生殖に関する健康と権利)に関わる発言は大変重要なもので、世代や立場を超えてそれぞれの経験に基づいた意見が語られる、真剣な対話の場となりました。
第4部は、参加者全員によるグループディスカッション。10人前後のグループで思い思いに語り合い、テーブルからは活発な声が聞こえました。「デマや誹謗中傷に負けない地域のつながりをつくっていきたい」「都議選の候補者にアンケートをしてみたい!」など前向きで熱い言葉がたくさん飛び交い、同じ思いを持つ人どうしが繋がり合える場になったと感じました。
このイベントを通して、やはり“顔を合わせること”の力を改めて実感しました。民主主義を守り育てていくには、リアルな場での連帯が欠かせません。都議選を前に、声を上げてつながり合うことの大切さと可能性を、私自身も肌で感じることができました。運営側としても参加者のみなさんのまっすぐな熱意に励まされました。
4時間を超えるプログラムでしたが、終わってみればあっという間。本当に濃く充実したひとときでした。会場・オンラインでご参加くださったみなさん、心からありがとうございました。
LIN-Netはこれからも、地域から民主主義を育み、よりよい社会をめざして歩んで活動して参ります。今後ともどうぞよろしくお願いします。
東京都議会議員選挙に向けてのアピール(案)
まもなく、⽇本最⼤のメガポリスである東京都議会の選挙が⾏われます。今年は、この東京都議会議員選挙の直後に、参議院選挙が⾏われる12 年に1 度の「⺒年現象」とも呼ばれる⼤きな政治変化が起きやすい状況にあります。
2022 年11 ⽉に東京⻄部の⾃治体⾸⻑・議員とのネットワークで発⾜したローカルイニシアティブ(LIN-Net)は、⾃治体運営のリアルな経験を分かち合い、既得権を守り続けてきた政治構造を、市⺠の⼒で打ち破り、組み換えるための連帯を広げてきました。今回の都議会議員選挙に際して、私たちの呼びかけに呼応してくれた現職、元職,新⼈が1 ⼈でも多く勝ち進み、東京都政の都⺠のための改⾰が進むことを願ってやみません。
「選挙と⺠主主義」を地域から修復する┄をテーマにして、本⽇の議論を進めてきました。昨年の東京都知事選挙の⽯丸候補を中⼼にして⽣まれた「YouTube 現象」は、従来までの選挙のあり⽅を⼤きく変えました。さらに、兵庫県知事選挙において決定的に「選挙と⺠主主義」の現場に、フェイク情報が⾶び交い、ネット上の⾔説が有権者の動向を⼤きく左右したことは、本⽇の丸尾牧兵庫県会議員の報告の通りです。私たちもまた、SNSやネット、動画を利⽤して情報発信してきました。ただし、兵庫県で起きたことは次の点で異質かつ特徴的で、フェイク情報の拡散が、憎悪の感情を拡散し、脅迫やつきまとい、暴⼒に及んで、百条委員会で斎藤知事を追及してきた県会議員を標的に攻撃が組織されたことです。今年の1 ⽉には、昨年の選挙後に県会議員を辞職していた⽵内英明元県議が⽣命を絶っています。
「選挙と⺠主主義」にとって危機的な事態です。誰もが⾃由に意⾒を述べ、異なる⾒解であっても、議論を通して結論を得るのが選挙と議会でのルールであるはずです。
そもそも、公職選挙法には「虚偽情報の公表」は禁じられていますが、数百万と再⽣回数を重ねるYouTube 情報の拡散には、間に合っていません。「候補者の表現の⾃由」を⼤切にすることは必要ですが、「ヘイト煽動」や「虚偽情報拡散による誹謗中傷」は⼈権侵害であり、禁⽌されるべきであり、これ以上の犠牲者を増やしてはならないのです。
私たちは地域の場で、⾏政情報を公開し、住⺠との参加と協働を通して、信頼を構築するための努⼒をしています。嵐のようなネット旋⾵とは別次元ですが、事実にもとづく冷静な対話と議論、誤りを互いに指摘し合える仲間づくりを「対抗軸」にして、「⾃治とコモン」を発展させていく以外にありません。⼀⽅で、「選挙と⺠主主義」の現在に危機感を持つ多くの市⺠や議員、⾸⻑、専⾨家の参加も得て、公正な選挙を妨げ、関係者への暴⼒的な威迫につながりかねない事態が発⽣した時に、ファクトチェックと法的対応を即時に⾏える仕組みを準備することも課題だと考えています。
東京都議会議員選挙が、始まろうとしている今、私たちは個々の選挙区で挑戦する仲間たちを応援すると共に、仮に今回もまたフェイク情報の拡散や誹謗中傷が拡散する兆候があった時に、不当な攻撃から防衛する努⼒を惜しまないことを確認したいと思います。
都道府県は、基礎⾃治体と国家との間にあり、基礎⾃治体に対する強い影響⼒を有しています。中でも、巨⼤な財政⼒と⾏政組織を有する都政のありようを決める都議会議員選挙は、この国のこれからの⾃治を占う試⾦⽯となるだけでなく、参議院選挙の直前ということもあって国政の⾏⽅を左右するものとしても⼤きな注⽬を集めています。
私たちは、「地域主権とコモンの再⽣」をめざし、5 つの政策的柱を共有し、活動しています。
01|地域主権と⺠主主義を⽬指します
02|気候危機をストップするため、⾃治体と地域の⼒で取り組みます
03|「ケアを社会の真ん中に」位置づけます
04|⼈権を尊重し、多様性を認め合う社会をつくります
05|市⺠と⾏政が共に参画する街づくりを進めます
東京都議会選挙においても、各政党・各候補者が、この政策的柱と取り組みを共有し、地域や基礎⾃治体の努⼒と挑戦を⽀える都政への転換の道を切り開いていくため、表⾯的なパフォーマンスに流れることなく、また誹謗・中傷の応酬を厳しく排しつつ、豊かな論戦を繰り広げることを⼼から期待するものです。
ここに集った都議選候補予定者が健闘し、発⾔と⾏動の出来る議席が確保出来るように、LIN-Net は応援します。
5/18「選挙と⺠主主義を地域から修復する 〜東京都議選から全国へ」参加者⼀同